空の下

フリーランスの編集者/ライター、佐藤の日記です。主な仕事に『栗村修の気楽にはじめるスポーツバイクライフ』『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』(いずれも洋泉社)、雑誌『バイシクル21』連載「輪上生活」など。ほかにも雑誌、WEBへの執筆多数。sato.takashi0970あっとgmail.com

2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

大岡昇平「無罪」

大岡昇平による13の「裁判物語」(裏表紙より)。一日で読んだ。 「事件」もそうだったが、確かにこれは推理小説ではなく「裁判物語」と呼んだほうがよさそうである。想定された読者層のせいか、大岡的調査はそれほど徹底していない。彼の好きな、箴言的な…

石川淳「文章の内容と形式」

「文学大概」より。石川淳の、論理的、明晰な側面はあまり語られない。しかしこの散文は実に明晰である。1 書かれたことばのはたらき 書き言葉は、外的な諸条件の抵抗を受け、それによって鍛えられる。例えば、文章は普遍へと向かうものであるが、国語の特…

「モテキ」、「ティファニーで朝食を」、古谷実、または人と繋がること

「ティファニー…」の最後、ポールは「人のものになりあう事だけが幸福への道だ」と言い、ホリーはその言葉にめでたく説得されるが、「モテキ」の最後、夏樹の思想ないし無思想は全く逆だ。しかし終わり方としては「モテキ」のほうがいい。夏の校舎の寂寥感と…

小津「東京暮色」

これは小津の問題作だ。多分例外でもある。小津恐るべし。小津をよく見ていたらしい岡崎京子もこの作品を見たんだろうか。何となく、彼女の作品を思い出した。