2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧
大岡昇平による13の「裁判物語」(裏表紙より)。一日で読んだ。 「事件」もそうだったが、確かにこれは推理小説ではなく「裁判物語」と呼んだほうがよさそうである。想定された読者層のせいか、大岡的調査はそれほど徹底していない。彼の好きな、箴言的な…
「文学大概」より。石川淳の、論理的、明晰な側面はあまり語られない。しかしこの散文は実に明晰である。1 書かれたことばのはたらき 書き言葉は、外的な諸条件の抵抗を受け、それによって鍛えられる。例えば、文章は普遍へと向かうものであるが、国語の特…
「ティファニー…」の最後、ポールは「人のものになりあう事だけが幸福への道だ」と言い、ホリーはその言葉にめでたく説得されるが、「モテキ」の最後、夏樹の思想ないし無思想は全く逆だ。しかし終わり方としては「モテキ」のほうがいい。夏の校舎の寂寥感と…
これは小津の問題作だ。多分例外でもある。小津恐るべし。小津をよく見ていたらしい岡崎京子もこの作品を見たんだろうか。何となく、彼女の作品を思い出した。