空の下

フリーランスの編集者/ライター、佐藤の日記です。主な仕事に『栗村修の気楽にはじめるスポーツバイクライフ』『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』(いずれも洋泉社)、雑誌『バイシクル21』連載「輪上生活」など。ほかにも雑誌、WEBへの執筆多数。sato.takashi0970あっとgmail.com

加藤周一

加藤周一「日本文学史序説」第三章「「源氏物語」と「今昔物語」の時代」

加藤は、10〜12世紀のおよそ三百年を、第一の鎖国期とする。第二はむろん江戸時代である。こういう重要な視点をさらっと提示するのが加藤周一である。 摂関政治から院政に至るこの時代、この島国において起こったことは、第一に、一個の文化体系(平安文化、…

大江健三郎「同時代ゲーム」と1980年の神話たち

二ヶ月ほど前、筒井康隆が朝日朝刊の連載で絶賛していたのを見て購入。ようやくこの、村=国家=小宇宙の大物語を読み終える……。 大江に関しては、朝日朝刊の連載と「ヒロシマ・ノート」だけを読んでいる。実に読みにくい文章を書く、という印象。今のところ、…

加藤周一「日本文学史序説」第二章

九世紀は、それまで移入された大陸文化の日本化の時期であり、日本文化の形を決定した時期である、と加藤はいう。 天台と真言の二つの宗派にみる「現世利益」追求の傾向即ち此岸志向。また両者は国家宗教としての側面も持つ。そのための妥協性。同時期の大陸…

加藤周一「日本文学史序説」第一章

一度図書館で読んだあと、上巻を購入し、しかししばらく放っておいた。加藤の死後、下巻も購入。彼の最大の仕事だろう。今、これを読む意味は大きい。 序章はとばすが、その冒頭で加藤が述べることだけは記したい。即ち「同時的構造を仮定することは、通時的…

しかし それだけではない。加藤周一、幽霊と語る。

渋谷にて鑑賞。想像より遥かに良かった。これは加藤周一を離れても、死を前にしたいち老人を主人公とした、死についての映画として相当のものであると思う。老人の一生に同時期の日本の歴史が重なり、最後それらは未来に向かって放られる。そして低音には、…

加藤周一の死

過去の日記の移動。 人の死を最初の題にとることになってしまった。以下よそに書いた日記からの転載含む。 去年の暮れ、加藤周一が死んだ。 加藤の位置について今更述べる必要も少ないだろうが、その博識に丸山真男が舌を巻き、サルトルが感心し、喧嘩屋大岡…