空の下

フリーランスの編集者/ライター、佐藤の日記です。主な仕事に『栗村修の気楽にはじめるスポーツバイクライフ』『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』(いずれも洋泉社)、雑誌『バイシクル21』連載「輪上生活」など。ほかにも雑誌、WEBへの執筆多数。sato.takashi0970あっとgmail.com

石川淳

石川淳「普賢」再読

加藤周一は石川淳について「この作家の二極構造(またはdichotomy)は、一方に、「生活」、「地上」、「凡俗」、「生理」、「肉体」、「心理」をおき、他方に、「ことば」と「精神」を立てる」と書いている(「石川淳または言葉の力」)。これは石川の世界に…

石川淳「文章の内容と形式」

「文学大概」より。石川淳の、論理的、明晰な側面はあまり語られない。しかしこの散文は実に明晰である。1 書かれたことばのはたらき 書き言葉は、外的な諸条件の抵抗を受け、それによって鍛えられる。例えば、文章は普遍へと向かうものであるが、国語の特…

大江健三郎「同時代ゲーム」と1980年の神話たち

二ヶ月ほど前、筒井康隆が朝日朝刊の連載で絶賛していたのを見て購入。ようやくこの、村=国家=小宇宙の大物語を読み終える……。 大江に関しては、朝日朝刊の連載と「ヒロシマ・ノート」だけを読んでいる。実に読みにくい文章を書く、という印象。今のところ、…

石川淳「白頭吟」

よくできた漫画のように一気に読めた。三人のヒロインと、酒とセックスと暴力と、そのあたりも相変わらず漫画のよう。 つまるところ石川の文学が漫画的なんだろう。こいつも、石川的美少女、登場人物が相互にどんどん関係するやたらと狭い世界(これも極めて…

石川淳「六道遊行」

ちょっと時間かかったが読了。 まず、思わぬ特典がついていたことを書かなければならない。AMAZONで購入した古本だが、なんと石川の訃報記事が貼られていた。相当熱心な読者のものだったとみえる。記事はおそらく、朝日、読売、毎日のもの。コボちゃんが脇に…

石川淳「至福千年」

読了。 これはすらすら読めた。面白い。ライトノベルのよう。ただ一点、新仮名遣いだったのが残念(岩波文庫)。冬蛾カッコよい。敵対する二勢力の間でふらふらする無頼キャラクターは漫画やアニメでもベタ過ぎるくらいだが、しかし石川の手にかかれば格好よ…

石川淳 諸国畸人伝他

読了。 実在の人物において、醜悪を奇異に高めようとする精神の運動。石川がどういう人間を好んだか良く分かる。したがって石川の人格もまた少し見えた気がする。 その他、おとしばなしをまとめて読んだが、大変愉快で面白い。筒井を少し思い出す。

石川淳

代表作といわれている作品の七割くらいはなんとか読んだか。なんだか良く分からないが凄い、というのがあらかたの感想かもしれないが、案外彼の文学は、少なくとも彼の生涯の全体を見通せば、明快なんじゃないか。 初期の私小説「的」文学、キリスト教を出汁…

石川淳

岩波の選集を片っ端から読む。amazonの古本。多分全巻を一万程度で揃えられるはず。 彼を評価出来る程の教養は無論僕になどないが、とにかく格好よい。彼の作品には性と暴力が良く表れる。その点は、その点のみ、今のメディアと同じ。氾濫するエロもどきアニ…

読書メモ

かなり間が空いた。 石川淳の短編をいくつか読む。「普賢」「マルスの歌」「珊瑚」「紫苑物語」「アルプスの少女」その他。「天門」もうすぐ。また座談、エッセイも多少。 加藤周一、丸谷才一、安部公房、三島由紀夫、澁澤、野坂、このへんの人があれほど「…

読書メモ

いくつか見たが面倒で日記にはせず。 意味がある程度あった読書は、石川淳「狂風記」、大江健三郎「ヒロシマノート」、森嶋通夫「自分流に考える」くらいか。石川はあまりに大きそうで僕の力では図りかねるが面白かった。 誰かが「狂風記」は電撃ブランドで…